抄録
四国西部の高縄半島と大島に分布する領家帯花崗岩類の岩型識別と時階区分をおこない、代表的な花崗岩のRb-Sr全岩アイソクロン年代とU-Pbジルコン年代を測定した。本地域の花崗岩類は第1期の片麻状トーナル岩から花崗閃緑岩、第2期の塊状花崗閃緑岩、第3期の塊状アダメロ岩から花崗岩の3グループに区分され、この順に貫入・定置した。第1期と第2期の花崗岩類については、いずれも91Ma前後の年代が得られ、Sr同位体比初生値も互いに酷似する。したがって、両花崗岩類のマグマは同じ起源物質から生じ、ほぼ連続して貫入・固結したものと考えられる。第3期花崗岩類の年代は96Maで、第1期と第2期の花崗岩類の年代に比べて有意に古い年代を与える。この理由については今のところ不明である。