抄録
太古代_から_原生代初期の堆積岩中に報告されている質量に依存しない硫黄同位体分別(MIF)は,当時の地球大気の酸素分圧が現在に比べて極めて低かったことに起因すると考えられ,硫黄MIFの証拠がいつ・どのような時間スケールで見えなくなるかを決めることは,大気中に酸素がどのように放出されたかを理解する上で,重要な意義を持つ可能性がある.原生代初期に堆積したカナダ・ヒューロニアン累層群のいくつかの層に関して,硫黄同位体の全岩分析がなされているが,大規模なMIFの証拠は見つかっていない.我々は,ヒューロニアン累層群中に硫黄MIFの証拠が局所的に残されていないかどうかを調べるため,イオンマイクロプローブを用い,硫化物の微小部硫黄同位体分析をおこなった.現在までのところ,各層の硫化物に関して,大規模なMIFの証拠は見られておらず,全岩分析の結果と調和的である.