抄録
Bajawa地域はインドネシア東部のFlores島の中央部に位置する。この島には多数の火山が分布し、Bajawa周辺では活発な地熱活動が認められる。主な地熱兆候地としてMataloko, Nage, Wolo Boboなどがあり、1997年から5年計画でNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)によるインドネシア—日本二国間研究協力プロジェクト(遠隔離島小規模地熱の探査に関する研究協力)が始まり、本格的な調査が行われた。
NEDOの調査によれば、Mataloko地域では酸性SO4型の温泉を伴う変質帯が広く分布し、活発な地熱兆候地となっている。本地域で掘削されたMT-1(掘削深度207m)、MT-2(掘削深度180m)とも坑底付近で優勢な蒸気に遭遇した。MT-2では坑底付近で192.3℃が確認されている。MT-1とMT-2の地質は安山岩質の火砕岩ないし溶岩で、浅部の火砕岩類と中深部の溶岩及び下部の火砕岩類からなる。浅部の火砕岩類は凝灰角礫岩からなり、主として白色変質している。その下位の溶岩は120m程度の層厚を有し、輝石安山岩溶岩からなる。深部の火砕岩類は主として細粒∼粗粒凝灰岩からなる。
MT-1・MT-2ともに浅部(深度20m以浅)、中深部(深度50∼100m付近)、深部(深度130m以深)に特徴的な変質が認められる。浅部では主として火砕岩(凝灰角礫岩)が白色変質、珪化しており、カオリナイト帯、明バン石帯に分帯される。中深部の変質は緑色変質が著しく、粘土化により軟質化している。MT-1・MT-2ともに比較的新鮮な安山岩溶岩が分布し、その直下に著しい粘土化が認められる。MT-1では深度50∼100m、MT-2では55∼85m付近で、緑色粘土化が著しい。深部の変質は緑色変質とともに白色変質、珪化が認められる。この深度にはモンモリロナイト帯、C/M帯、カオリナイト帯、ワイラケ沸石帯が分布している。
本研究では硫化鉱物より地熱流体の挙動を検討することを目的とした。それぞれのカッティングスにおける硫化鉱物の特徴は、一部に閃亜鉛鉱を伴うがほとんどが黄鉄鉱からなる。黄鉄鉱は自形~半自形の単独粒や連晶、細脈状、有色鉱物を交代したものなどの産状がある。化学組成の特徴として、最大As 2.5 wt%、Co 0.7 wt%、Mn 0.9 wt%、Cd 0.5 wt%を含む。AsとCoは深部の試料に高く、Mnは浅部の試料に高い傾向が認められる。イオウ同位体比についても議論する予定である。