都市計画論文集
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地方都市における小売店舗の立地・撤退の規定要因に関する研究
基準地域メッシュ単位での検討
都留 崇弘福田 大輔
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2018 年 53 巻 3 号 p. 1529-1536

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抄録

地方都市における中心市街地の空洞化は喫緊の課題である.その対応策として,都市の効率化を目指した立地適正化計画が計画・実施されつつある.本研究では,群馬県都市部を対象として,小売店舗の立地もしくは撤退を規定する要因を包括的に明らかにすることを目的とする.商業統計の2004-2014年データを用いて小売店舗の新規立地数や撤退数の基本傾向を確認した上で,データのゼロ過剰性ならびに空間効果の存在を考慮した詳細空間(1kmメッシュ)単位での小売店舗の立地数及び撤退数の統計モデルを構築した.パラメータの推定結果より,商業系区域面積が立地数には正の影響を与えているのに対し撤退数には負の影響を与えていること,大型ショッピングモールまでの距離は立地数・撤退数いずれにも負の影響を与えていることなどが明らかになった.また,中心市街地においては,撤退モデルの空間効果パラメータは正の傾向となり,近隣地域での撤退が当該メッシュでの撤退を促す可能性があることが示唆された.最後に,立地適正化計画の実施を念頭に,中心市街地への大型商業施設誘導が小売店舗の立地数・撤退数に及ぼす影響について推計した.

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© 2018 公益社団法人 日本都市計画学会
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