抄録
マクバル超高圧変成岩体は超高圧変成作用を受けたざくろ石-クロリトイドーフェンジャイトー滑石片岩とそれと互層する珪質片岩が主体である。この中に、エクロジャイトや石灰珪質片岩、ざくろ石-黒雲母-白雲母片岩のブロックが産する。超高圧変成岩のフェンジャイトを用いたK-Ar年代は約509Ma、エクロジャイトのパラゴナイトを用いたK-Ar年代は482Maが得られている。一方、ざくろ石-黒雲母-白雲母片岩の黒雲母K-Ar年代は769Ma、白雲母は717Maであり、母岩とは全く異なる変成年代を得た。しかも、ざくろ石-黒雲母-白雲母-斜長石地質温度圧力計を用いたこの岩石の変成温度圧力は約500℃、10Kbar以下が見積もられる。さらに、石灰珪質岩ブロックでは曹長石斑状変晶が認められ、母岩で曹長石が不安定なことと対照的である。以上の結果は、これらの変成年代および変成条件が母岩と異なるブロックは、マクバル超高圧変成岩体の捕獲岩であることを示している。