医学検査
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原著
ワイヤレス12誘導心電計を用いた運動負荷心エコー図検査の有用性
宮花 礼子川﨑 俊博前田 久美子上原 久美子兵頭 永一田口 晴之島田 健永吉川 純一
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2014 年 63 巻 2 号 p. 140-145

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抄録

目的:運動負荷心エコー図検査は,心筋虚血評価検査の中でも感度・特異度が高く,治療方針を決定する上で有用性が高い.また,平成24年度の診療報酬改定により保険収載項目となり,今後更なる発展が予想される.しかし検査が煩雑で,検査に要する人員が複数名必要なことや検者の熟練度が検査結果に大きく左右するなどの理由から,本邦ではあまり普及していないのが現状である.今回我々は,ワイヤレス12誘導心電計を用いることにより,検査に要する人員数,検査時間を軽減できるか検討した.
対象と方法:狭心症の診断にて運動負荷心エコー図検査を施行した連続31例(男性24例,平均年齢66 ± 11歳)を対象とした.検者2名でワイヤレス12誘導心電計を使用した方法をワイヤレス法,従来法である検者3名で有線の12誘導心電計を使用した方法を有線法A,ワイヤレス法と検者数を合わせ,検者2名で有線の12誘導心電計を使用した方法を有線法Bとし検査を施行した.それぞれの方法で運動終了時から1枚目の画像取得までの時間を測定し比較検討した.
結果:ワイヤレス法:12例(男性10例,平均年齢67 ± 8歳),有線法A:12例(男性9例,平均年齢64 ± 14歳),有線法B:7例(男性5例,平均年齢68 ± 12歳)の全てにおいて安全に検査が施行できた.画像取得時間は,ワイヤレス法では19 ± 3秒,有線法Aでは18 ± 4秒で両者に差はなく,従来法より1名少ない検者数でも安全かつ正確に検査が施行できた.しかし,有線法Bの画像取得時間は31 ± 9秒であり,他2法に比べ有意に長い結果となった.
結論:ワイヤレス12誘導心電計は検者の負担を軽くし,運動負荷心エコー図検査が簡便に行える可能性が示唆された.今後,広く使用できうる機器であると考えられた.

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© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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