医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
資料
C. DIFF QUIK CHEK COMPLETEにおけるGDH抗原検出の有用性評価
西尾 美津留宮木 祐輝小川 有里子
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 63 巻 5 号 p. 635-639

詳細
抄録

C. difficile関連下痢症(CDAD)の診断は,一般的に糞便中の毒素検出により行われるが,検出感度は十分でなくC. difficile感染症(CDI)の一部は見落とされている.今回我々はC. difficile抗原(GDH抗原)とToxinA,ToxinBが同時検出可能な迅速キットC. DIFF QUIK CHEK COMPLETE(QUIK CHEK:アリーアメディカル)におけるGDH抗原検出の有用性を評価した.CDAD疑いで検査依頼のあった158件において,培養とGDH抗原の結果一致率は96.8%,感度100%,特異度96%と良好な結果が得られた.SHEA(米国病院疫学学会)/IDSA(米国感染症学会)ガイドラインに記載された通り,GDH抗原がCDAD診断の一次スクリーニング検査として有用である事が確認された.これによりGDH抗原が陰性の場合は,培養検査を省略する運用法に変更した.また毒素陰性・培養陽性分離株におけるQUIK CHEK検査では,20件中17件(85%)が毒素陽性であり,GDH抗原陽性ならば培養を行い,次に分離株にて毒素検査を実施する事で,より正確なCDI診断が可能になると思われ,運用法の変更は検査精度向上に有用と考えられた.またGDH抗原陽性の場合は速やかにICTに報告し,感染対策を実施することとした.今回の検討結果を臨床に報告した事により,臨床側のC. difficile感染対策の意識を向上させることが出来たと考える.

著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top