医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
症例報告
髄液一般検査でいち早く髄液播種を疑う情報を提供できた症例―認定一般検査技師として症例とどう向き合うか―
宮重 真美
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 63 巻 6 号 p. 725-729

詳細
抄録
髄液検査は中枢神経系疾患において臨床的意義が高く緊急性が求められる検査であり,中でも中枢神経系に発生する腫瘍性疾患の確定診断や治療方針の決定,再発の有無や経過観察などに対して非常に重要な検査である1),2).通常,髄液が採取され最初に検体が届くのは一般検査室であり,直ちに髄液一般検査が行われる.中でも髄液中に出現した細胞の観察が最も重要である.髄液一般検査における固定や煩雑な染色操作を必要としない計算盤上での細胞観察は,その時の患者の状態を速やかに把握できる有効な検査である.認定一般検査技師資格制度の制定により,髄液一般検査を担当する技師は,尿沈渣だけでなく穿刺液に出現する細胞分類における知識や細胞観察技術に向上が見られ,臨床検査技師としての個人の裁量が確実に上がっている.今回,髄液播種を疑う情報を迅速に臨床側に提供できた症例,及び髄液一般検査結果を主治医へ連絡したことで細胞診検査が追加依頼され,確定診断が得られた症例を経験した.それらの症例報告と今後の認定一般検査技師が担う役割について考察したのでここに示す.
著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top