抄録
汎用生化学自動分析機による『ラテックスH-FABPキット「ヤマサ」』の基礎的検討を行ったので報告する。その結果,同時再現性は変動係数(CV)0.7~1.8%,日差再現性は2.2~4.4%,希釈直線性は160 ng/mLまで原点を通る良好な結果が得られた。共存物質の影響は認めなかったが,明らかなプロゾーン現象を認め,他社試薬との相関性では本法が低値を示した。基準範囲は2.0 ng/mL以下と設定した。他の心筋マーカーとの経時的変化の観察から,早期急性冠症候群の診断や再灌流後の経過観察にも有用であることが示唆された。高濃度血清ではプロゾーンチェック設定によって偽低値を回避する必要があるが,基本性能は良好で日常検査において有用であると考える。