医学検査
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技術論文
Tympanometryの基礎的検討
羽生 あい関 ふたみ川島 加誉本庄 茂登子上ノ宮 彰津田 祥子望月 照次小林 一女
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2015 年 64 巻 5 号 p. 564-568

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抄録

Tympanometryは鼓膜のcomplianceと中耳圧を測定することで,中耳貯留液の有無を診断する方法である。一般的に226 Hzを用いたTympanometryが普及しているが,外耳道が柔らかい新生児では中耳貯留液があっても圧変化を起こし,A型のTympanogram(以下TG)を示すことがあるため1),プローブ音1,000 HzのTympanometryがより信頼性が高いとの報告がある2)。今回,プローブ音1,000 Hzと678 Hzを搭載したGSI Tympstar Version 2(以下GSI)と従来から当院で使用しているインピーダンスオージオメータRS-22(以下RS-22)を用いて,比較検討を行った。その結果,11耳において226 HzでA型を示したが,1,000 Hzと678 HzはB型を示した。11耳全てが0歳児の症例(2か月,3か月,6か月)であった。この結果から,6か月以下の乳児は,1,000 Hzと678 HzのTympanometryが有用であることが判明した。プローブ音1,000 Hzでは,アーチファクト様の波形を示し再検査が必要となることがある。GSIはシリンジ型のため機器作動に時間がかかり,体動の多い小児では測定困難な場合があった。以上のことから,プローブ音1,000 Hzを搭載したポンプ型で耳栓が固定可能な構造及び機能の機器が望まれる。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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