2015 年 64 巻 5 号 p. 559-563
超音波内視鏡下穿刺吸引(EUS-FNA)の細胞診検体においてセルブロック法が診断に有用であった2例を経験したので報告する。症例1:40歳代女性。腹部CTにて7 cm大の後腹膜腫瘍を指摘。EUS-FNA細胞診で神経内分泌腫瘍が疑われ,同時に作製したセルブロックを用いて免疫染色を実施した。腫瘍細胞はChromogranin AとSynaptophysinに陽性を示し,神経内分泌腫瘍と診断した。症例2:70歳代男性。背部痛を自覚し,腹部CTにて胃に接する18 cm大の腫瘍を指摘。EUS-FNA細胞診でGastrointestinal stromal tumor(GIST)が疑われ,セルブロックを用いた免疫染色で腫瘍細胞はDOG-1,c-kit陽性でGISTと診断した。膵臓や消化管粘膜下腫瘍のEUS-FNA細胞診において,セルブロックによる免疫組織化学を併用することが診断に有用であると考えられた。