医学検査
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症例報告
末梢血および骨髄に白血病芽球様細胞を認め,診断に苦慮した芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍の1例
盛合 亮介小林 大介遠藤 明美近藤 崇近藤 啓東 恭悟淺沼 康一
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2015 年 64 巻 5 号 p. 553-557

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抄録

芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍(blastic plasmacytoid dendritic cell neoplasm; BPDCN)の1例を経験した。本症例の腫瘍細胞は,細胞質の色調が弱塩基性,核網が繊細かつ複数の核小体を持つ芽球様細胞で, 唯一BPDCN細胞に特徴的とされている,偽足様の細胞質突起や細胞質膜に沿う空胞はみられなかった。BPDCNは細胞形態が多彩であり,本症例のように,BPDCNに特徴的な細胞形態を認めない芽球様細胞が末梢血や骨髄に出現している場合,メイ・ギムザ染色ではBPDCNを推測することも,他の急性白血病およびリンパ腫の白血化例と鑑別することも困難である。また,細胞表面抗原の発現についても,必ずしも典型的なパターンをとらず,本症例でみられたCD123に代表される形質細胞様樹状細胞関連抗原を検査しなければ診断に至らない。また,TCRおよびIg遺伝子の再構成やEBER-1等の陰性所見もBPDCNの迅速,確実な診断に必要である。BPDCNは稀な疾患であるが,予後が極めて不良であり,本症例も診断時から約6ヵ月で死亡の転帰をとった。可能な限りの早期治療に向けて,BPDCNは常に忘れてはならない疾患であることを知っておきたい。

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© 2015 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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