医学検査
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技術論文
スプタザイムを用いた粘液性検体へのBDシュアパスTM液状化細胞診の導入
土屋 幸子梅澤 敬堀口 絢奈梅森 宮加廣岡 信一清川 貴子池上 雅博鷹橋 浩幸
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2016 年 65 巻 4 号 p. 414-418

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抄録

粘液溶解剤とBDシュアパスTM法を用い,喀痰に対する液状化細胞診の標準化を試み,良好な結果がみられたので報告する。喀痰全量に粘液溶解剤であるスプタザイムを添加し,遠心分離により診断に必要な細胞成分を全て回収し,非婦人科による用手法に準じてBDシュアパスTM標本を作製した。標本の評価は,陰性,疑陽性,陽性,不適正の4つに分類し,塵埃細胞の有無を指標として,40倍で10視野カウントし平均値を算出した。対象103例中,塵埃細胞を欠く検体不適正は17例(16.5%)で,乾燥や過剰塗抹などのtechnical errorはみられなかった。検体適正86例の塵埃細胞数の平均は16.5個であった。検体適正であった86例は,陰性が82例(95.3%),疑陽性が4例(4.7%)であった。粘液溶解剤を用い全量を均一化することにより,遠心分離で細胞の回収率が向上し,粘液性検体であってもBDシュアパスTM標本が作製でき,標本作製の標準化に寄与する。

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© 2016 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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