医学検査
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原著
広域周波オシレーション法における義歯の影響に関する検討
髙松 泉酒井 瑞音櫻井 沙絵冨田 朋子小坂 弓恵向井 伸治
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2020 年 69 巻 3 号 p. 289-299

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抄録

広域周波オシレーション法は,強制オシレーション法(forced oscillation technique; FOT)を基本原理としており,気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の機能的評価として有用である。FOTによって得られる呼吸抵抗(レジスタンス)やリアクタンスには,影響を及ぼす因子も報告されているが義歯による報告は今までない。今回我々は,義歯による影響について検討したので報告する。対象は義歯の着脱が可能な52名と義歯未装着の60名。方法は,義歯装着患者に対して義歯装着時と義歯離脱時に広域周波オシレーション法を実施し,同時に義歯装着状態の調査を行った。義歯未装着患者では広域周波オシレーション法を実施し,それぞれ得られたレジスタンス値,リアクタンス値等について検定を行った。結果,義歯装着群と義歯未装着群では,義歯未装着群がレジスタンス成分にて有意に高値であった。義歯装着群において義歯の有無による有意差検定では,レジスタンス成分と低周波のリアクタンス成分が義歯装着時に高値,高周波のリアクタンス成分が義歯離脱時に高値であり,ロジスティック回帰分析より影響があると予測されたパラメータは,下義歯の自覚症状と義歯数であった。結果より,義歯未装着群は気管支喘息が多く病態的特徴により高値であったと推測された。義歯装着群では,義歯の不安定性が関連し義歯装着は数値に影響することが示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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