医学検査
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小児における尿蛋白スクリーニングの検討
田中 伸久三宅 妙子
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2021 年 70 巻 2 号 p. 308-311

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抄録

尿蛋白量は腎疾患の診断や重症度の判定に重要である。日常的には試験紙法によるスクリーニングが行われているが,尿の希釈程度によって病的蛋白の見逃しあるいは過大評価のリスクがある。そこで,0~18歳の小児を対象に,試験紙法の問題点および比重を加味することの必要性を検証した。試験紙法に加え,尿蛋白/尿クレアチニン比(urinary protein/urinary creatinine,以下Up/Ucr比)と比重が測定されていた508例について,試験紙法の結果から5群,比重から4群に分類した。Up/Ucr比が2歳未満は0.5以上,2歳以上は0.2以上を病的蛋白尿とし,試験紙法による結果と比較した。その結果,試験紙法が陰性にもかかわらず,比重が1.010以下の群では23.6%が病的蛋白尿と判定された。小児では尿の濃縮能力が不十分なため低比重尿が多く,成人以上に試験紙法では偽陰性となるリスクは高いものと思われる。病的蛋白尿を目的とするなら,小児では比重は併用すべきである。

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© 2021 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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