医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
症例報告
Moraxella nonliquefaciensによる角膜潰瘍の1例
鈴木 崇真, 丸岡 真治, 北川 大輔, 古森 円香, 新谷 祐衣, 枡尾 和江, 矢野 寿一, 中村 文彦
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2022 年 71 巻 3 号 p. 554-559

詳細
抄録

Moraxella nonliquefaciensはヒトの上気道に常在するグラム陰性桿菌で,小児の気管支炎や副鼻腔炎の原因となることが知られているが,角膜材料からの検出例は少ない。今回,M. nonliquefaciensによる角膜潰瘍の1例を経験したので報告する。患者は70歳代男性。左眼痛のため受診し,左眼角膜輪部の菲薄化を認め,感染性角膜潰瘍,前房蓄膿,眼内炎と診断された。角膜擦過物のグラム染色では,大型で角張りのあるグラム陰性桿菌を認めた。24時間の培養でTSA II 5%ヒツジ血液寒天培地に非溶血の白色スムース型の小集落が発育したが,BTB乳糖加寒天培地に発育を認めなかった。分離菌のカタラーゼ試験,およびオキシダーゼ試験が陽性。生化学的同定検査では正しい菌名を得られなかったが,質量分析(VITEK MS)でM. nonliquefaciensとの結果が得られた(99%)。また,16S rRNA遺伝子解析でM. nonliquefaciensと99.71%の相同性が得られた。薬剤感受性検査の結果,分離菌はマクロライド系薬に耐性であった。患者の所見はキノロン系薬およびセフカペンピボキシル等の投与により改善した。M. nonliquefaciensの精査に質量分析は有用であるが,形態学的特徴や培養所見,カタラーゼ・オキシダーゼなどの従来法から本菌の可能性を推定し,迅速に臨床に報告することが重要である。

著者関連情報
© 2022 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top