2023 年 72 巻 3 号 p. 365-373
目的:子宮頸部擦過細胞診に用手法LBCを導入し,専用機器によらず用手的にてLBCとする方法の確立を試みた。方法:研究実施施設における子宮頸部擦過細胞診3,383件を対象とした。サーベックスブラシTMにより採取し専用バイアルに回収した検体を用手法LBCによってLBC標本とした。細胞像をベセスダシステム2014により判定し,標本の品質を評価するとともに,不適正検体率とその要因,細胞診と生検組織診結果との比較による判定の妥当性を検討した。成績:作製したLBC標本はベセスダシステムによる評価に支障のない品質であった。結果はNILM:2,975件(87.9%),ASC-US:148件(4.4%),ASC-H:52件(1.5%),LSIL:119件(3.5%),HSIL:58件(1.7%),その他16件であった。ASC以上の判定ののちに生検が施行された130件中99件(76.1%)で生検組織診がLSIL以上であった。結論:子宮頸部擦過細胞診は用手法LBCによって専用機器を用いずにLBC化し,ベセスダシステムによる細胞判定を行うことが可能である。