医学検査
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パラフィン包埋組織切片を用いた抗酸菌核酸増幅検査法の検討
南 智也加藤 ゆり河村 規子赤城 ひろみ黒板 敏弘曽家 義博幸福 淳子村山 徹
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2023 年 72 巻 4 号 p. 576-582

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抄録

【目的】パラフィン包埋(FFPE)組織を用いた核酸増幅検査はカラム法での核酸抽出が煩雑で時間を要するため,実臨床であまり実施されないのが現状である。我々はFFPE組織からPCR法による抗酸菌検出・同定を試み,Zirconia beadsによる核酸抽出法(ビーズ法)の有用性についても検討した。【方法】培養,Ziehl-Neelsen(Z-N)染色ともに陽性の11例,培養,Z-N染色ともに陰性の35例に対して,カラム法にてMycobacterium tuberculosis(MTB),Mycobacterium avium(MAV),Mycobacteriumintracellulare(MIN)のPCR法による検出を実施した。また同症例に対してビーズ法にて同様の操作を行った。【結果】カラム法でZ-N染色陽性例はMTB 5/7例,MAV 2/2例,MIN 1/2例が陽性,Z-N染色陰性例はMTB 34/35例,MAV 34/35例,MIN 35/35例が陰性,ビーズ法でZ-N染色陽性例はMTB 6/7例が陽性,その他はカラム法と同様の結果であった。検査時間はカラム法で160分間,ビーズ法で70分間であった。【まとめ】本検討によりFFPE組織からPCR法による抗酸菌検出・同定が可能であり,カラム法と同様にビーズ法も核酸抽出法として有用であること示唆された。

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© 2023 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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