医学検査
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技術論文
エクルーシスFT3 III改良試薬を用いた測定干渉の影響検証
立花 悟瀧田 尚子山﨑 望西原 温子吉田 博西原 永潤宮内 昭赤水 尚史
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2023 年 72 巻 4 号 p. 549-556

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抄録

多くの血中ホルモンの測定が免疫学的測定法で行われている。しかし,この測定法は使用する測定試薬により,測定値に乖離がみられる場合がある。その原因のひとつに,検体中のビオチンおよび試薬に含まれるストレプトアビジンに対する検体中の異好性抗体の影響がある。今回,測定値が乖離する原因を検討するため,異好性抗体の干渉を受けないように改良された電気化学発光測定法(以下,ECLIA法)を用いたエクルーシス試薬FT3 IIIビオチン改良試薬(以下,改良試薬),エクルーシス試薬FT3 III試薬(以下,従来試薬)および化学発光酵素免疫測定法(以下,CLEIA法)を用いたアキュラシードFT3試薬を用いた比較検討を行った。無作為抽出した1,005例の血清を用いた従来試薬と改良試薬間の相関性に問題はなく,試薬改良による測定値の大きな変動は認められなかった。また,改良試薬は従来試薬と異なり,検体へのビオチン添加による測定値の見かけ上の上昇がないことが確認された。さらに従来試薬とCLEIA法の間でFT3値が乖離し,従来試薬の偽高値が疑われた対象検体28例中13例で改良試薬の測定値に有意な低下を認めた。これら13例に関しては,PEG処理,HBT処理,Protein A試験の結果から免疫グロブリンの存在が疑われ,同時に改良試薬では異好性抗体の影響が低減されたことを確認できた。しかし,依然として改良試薬とCLEIA法の測定値が乖離している症例も存在しているため,更なる検討が必要である。

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© 2023 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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