医学検査
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新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)における全自動遺伝子検査装置の性能評価と臨床検体を用いた検出感度比較
小山 郁子佐藤 真由美山口 真裕子菅原 拓也松尾 崇史笠井 隆之三好 菜摘住友 みどり
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2024 年 73 巻 2 号 p. 301-307

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抄録

我々はSARS-CoV-2遺伝子検出機器2種類,および外部委託検査の性能評価を行った。機器は,TRCReady-80®(TRC),GeneXpert®(GX),外部委託検査はTaqPath reagents(TaqPath)である。検出限界の確認にはEDX SARS-CoV-2 Standard®を生食で希釈し,4.3,17,34,43,170,340,1,700 copies/mLの試料を作成した。各試料はTRCとGXで測定し,検出限界はそれぞれ430 copies/mLと170 copies/mLで,GXの検出限界の方がTRCより低濃度だった。SARS-CoV-2非感染者15名,感染者13名を対象として鼻咽頭ぬぐい液を採取し,方法間の一致率を確認した。被験者からスワブを2本採取し,1本はUTMブロスで懸濁後,GXとTaqPathの測定に使用し,1本はTRC専用の変性試薬で懸濁した。TRCとGXは当日に測定し,TaqPathは翌日に測定した。非感染者検体は全て陰性だった。感染者の結果はGXで全て陽性であったが,TRCとTaqPathはいずれも3件の陰性,10件の陽性であった。GXとの判定不一致例のCt値は35以上だった。この乖離は,機器の検出感度の差異や,サンプル中の遺伝子の断片化によって引き起こされたと考えられる。我々は機器の特性を知って分析機を選ぶ必要がある。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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