医学検査
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外来患者の高カリウム極異常値速報と医師の対応調査―外来診療との連携強化に向けて―
飴本 久子山本 慶和下村 大樹嶋田 昌司上岡 樹生畑中 徳子
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2024 年 73 巻 2 号 p. 346-353

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抄録

はじめに:重度の高カリウム血症は心停止の危険性があり,早期の治療が必要である。天理よろづ相談所病院では血清カリウム値が6.0 mmol/Lを超えた場合を極異常値と設定し,直ちに主治医に報告している。本研究では,極異常値速報に対する医師の対応を調査し,現在の速報体制の改善点について検討した。方法:対象は1年間で高カリウムの極異常値を示した外来患者131名とした。外来での治療状況と高カリウム血症の誘因,速報後の主治医の対応,緊急処置の有無,心電図所見,血清カリウム値とその変化量について調査した。結果:高カリウムの誘因は,慢性腎臓病,過剰摂取,薬の副作用が80%を占めた。緊急処置を要した患者は20例で,14例が7.0 mmol/L以上,または1.5 mmol/L以上の上昇を示した。速報時,8人の患者は診療科に不在で,うち6人は主治医から自宅に連絡し,1人は急性腎不全で緊急入院となった。心電図検査を必要とした29人中6人は2.0 mmol/Lの血清カリウム値の上昇があった。また緊急処置の有無を判断するのに,血清尿素窒素の変化量と血清クレアチニンの変化量が有用であった。結論:現行の外来患者への高カリウム極異常値報告は,医師の対応から有用であると評価できたが,速報時に患者が不在である例も確認できた。外来診療科との連携を強化し,極異常値報告の体制を改善する必要性が明らかとなった。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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