脳原発悪性黒色腫は極めてまれであり,全黒色腫の1%を占めるにすぎない。今回,我々は,患者髄液における異型細胞の報告により癌性髄膜炎の早期診断・治療に繋げることができた脳原発悪性黒色腫の1例を経験したので報告する。患者は40代女性,一昨年前に脳原発悪性黒色腫と診断され,摘出後にニボルマブにより加療されたが,半年後に再発を認めたため定位放射線治療を追加された。約2週間前より眩暈,嘔気が出現し,目の焦点が合わないため頭部MRIを施行,髄膜に沿った造影病変から髄膜炎が疑われ,腰椎穿刺が施行された。髄液中の細胞数は単核球優位に増加し,サムソン染色による形態評価では,異型細胞を認めた。その異型細胞はN/C比が高く,核の大小不同や著明に腫大した核小体を認め,細胞質には茶褐色の顆粒が散在性に認められた。同顆粒は無染色でも褐色を呈していることから,メラニン顆粒の可能性が第一に考えられた。以上の所見より,悪性黒色腫の髄腔内播種が最も疑われたため,早急に主治医に報告した。同時に,細胞診の追加依頼を提案し,パパニコロウ染色により悪性黒色腫による癌性髄膜炎の確定診断に至った。癌性髄膜炎は遭遇する機会は少ないが,迅速な診断による治療が予後に影響を及ぼす重篤な疾患である。日頃より医師や病理検査を含む各部門と密に連携し,早期の診断・治療に繋げる努力が肝要と考える。