医学検査
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技術論文
血液凝固自動分析装置 S400CFの基礎的評価
田中 彩日川口 隼佳中西 加代子石田 敦巳西山 有紀子長尾 美紀
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2024 年 73 巻 3 号 p. 467-476

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抄録

今回我々は,積水メディカル株式会社より新たに開発された血液凝固自動分析装置S400CFの基礎的性能評価を行った。2濃度のコントロール試料を用いて評価した併行精度,室内再現精度は良好な結果が得られた。同様の試料を用いて評価したオンボード安定性は,既存装置であるコアプレスタ®2000(以下,CP2000,積水メディカル株式会社)と比較して格段に向上していることが確認できた。また,干渉チェックAプラス,干渉チェックRFプラス(シスメックス株式会社)を用いた共存物質の影響評価では,ヘモグロビン,乳び,遊離型ビリルビン,抱合型ビリルビン,リウマトイド因子のすべてにおいて各測定試薬の添付文書に記載の許容限界濃度まで正確性の範囲内であった。既存装置CP2000との相関性については,全項目において,相関係数が0.9以上,傾きが0.9~1.1と良好な結果が得られた。各測定項目の高値試料を生理食塩水で希釈した希釈系列試料を用いて評価した希釈直線性は,各測定試薬の添付文書に記載の測定範囲上限を十分に上回る結果が得られた。各測定試薬の低値試料を用いて評価した検出限界は,各測定試薬の添付文書に記載の測定範囲下限を十分に下回る結果が得られた。コントロール試料および患者血漿を用いて評価した処理速度は,既存装置CP2000と比較して大幅に向上したことが確認できた。以上より,S400CFは良好な基礎的性能を有し,日常検査においての有用性が示された。

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© 2024 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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