医学検査
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技術論文
ステント内血流速度比は頸動脈ステント留置術後再狭窄の推定に有用である
手嶋 翔一朗西浦 哲哉藤田 寿之定方 英作
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2024 年 73 巻 3 号 p. 477-485

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抄録

【目的】頸動脈ステント留置術後再狭窄の推定にステント内血流速度比が有用か検討する。【対象と方法】対象は当院で頸動脈ステント留置術を行った49症例。再治療を要した群と術後経過良好であった群に分け,ステント内収縮期最高血流速度(peak systolic velocity;以下,PSV),ステント内PSVと総頸動脈との血流比(以下,ステント内血流速度比)に主軸を置き,その他指標についても後方視的に比較検討した。【結果と考察】再治療群では再狭窄時のステント内PSV = 219 ± 121 cm/s,ステント内血流速度比 = 3.6 ± 1.9,ED比 = 1.15 ± 0.17,ステント拡張率 = 42 ± 11%,ステント内plaque進展厚 = 1.8 ± 0.9 mmであった。経過良好群ではステント内PSV = 102 ± 52 cm/s,ステント内血流速度比 = 1.36 ± 0.6,ED比 = 1.16 ± 0.59,ステント拡張率 = 39 ± 12%,ステント内plaque進展 = 0.29 ± 0.59 mmであった。PSV,ステント内血流速度比,ステント内plaque進展厚に統計学的有意差(p < 0.05)を認め,ROC曲線を用いてカットオフ値を算出した結果,PSV > 160 cm/sで感度,特異度ともに87%,ステント内血流速度比 = 1.96で感度87%,特異度100%,plaque進展厚 = 1.2 mmで感度87%,特異度90%を得た。【結論】ステント内血流速度比は術後再狭窄の推定に有用である。

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