医学検査
Online ISSN : 2188-5346
Print ISSN : 0915-8669
ISSN-L : 0915-8669
症例報告
血小板輸血後に抗Eが二次免疫応答によって検出されたと考えられる1症例
秋田 誠土居 靖和岡本 康二谷口 裕美髙須賀 康宣小西 達矢宮﨑 幸大山之内 純
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2025 年 74 巻 2 号 p. 422-427

詳細
抄録

血小板製剤中には少量の赤血球も含まれているが,不規則抗体陽性患者に対して抗原陰性血を選択するといった考慮を現在は行われていない。今回我々は,二次免疫応答により抗Eが検出されたと考えられる症例を経験した。70代男性,20XX − 2年3月よりMDSに対してAZA治療開始。定期的に赤血球輸血が行われ,同年9月に抗Eを検出。4ヶ月後に抗Eは消失したが,抗Eが同定されて以降はDCCeeで赤血球輸血を継続中。20XX年1月に不規則抗体検査が陽性になり,同定検査を行ったところ抗Eが同定された。直近の赤血球製剤の抗原は全てDCCeeであった。血小板製剤のドナー抗原を確認すると,DCcEeであり,血小板製剤中に含まれるE抗原陽性赤血球によって二次免疫応答が起こり,抗Eが産生されたことが疑われた。不規則抗体検査はフィシン法のみ陽性。患者赤血球の解離試験の結果は陰性。DTT処理の結果より,IgG型の抗Eであることが判明した。mimicking抗体の鑑別検査を行い,mimicking抗体は否定できた。抗E検出後,E抗原陽性の血小板製剤が輸血されているが,溶血所見は認められなかった。血小板製剤によって抗体を再活性化させるには,複数回の抗原感作が必要になる可能性が示唆された。今回の症例より,血小板輸血が二次免疫応答を惹起し,不規則抗体産生を誘導する可能性も考慮して検査を実施していくように努めていきたい。

著者関連情報
© 2025 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
前の記事 次の記事
feedback
Top