抄録
重症急性膵炎における血液凝固線溶系の異常をretrospectiveに検討した.自験例では入院時から凝固線溶系の異常が高率に認められた.特にThrombin-antithrombin III complex(TAT)とD-dimerの異常発現率は100%であった.厚生労働省重症度スコアとの相関関係はProthrombin time-international normalized ratio(PT-INR)とTATが正の相関関係を,血小板が負の相関関係を示した.また,入院時TATはStage 2よりもStage 3, 4において高値を示した.生存群に比して死亡群において,PT-INRは有意に延長し,TATは高値を示した.入院時PT-INRが1.15以上の症例や入院時TATが45ng/ml以上の症例では死亡率が有意に高かった.以上より,重症急性膵炎において入院時TATは重症度や予後予測のマーカーとして有用である可能性が示唆された.