医学検査
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波形に注目した肺活量の精度管理方法による機器異常の検知力向上
若尾 実菜濱田 里美鳴海 純青栁 栄子齊木 有美市村 直也東田 修二
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2025 年 74 巻 2 号 p. 390-396

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抄録

呼吸機能検査機器の精度管理は,較正器による測定値が定められた許容範囲内にあるかを確認することで行われる。われわれは,従来の測定値のみを管理指標とした精度管理に加えて,ストローク波形の観察が機器の異常の発見に有効であることを示す。精度管理手順は3L較正器でストロークを5回行い,測定値が許容範囲内かどうかを確認することに加え,最大呼気位・吸気位の波形の変動の有無を確認した。[事例1]測定値が許容範囲内であったが波形全体が上昇トレンドを示し,蛇管を交換することで正常波形となった。[事例2]測定値が許容範囲内であったが波形全体が上昇トレンドを示し,較正器と蛇管を接続するアダプタを交換したところ正常波形となった。精度管理時に複数回ストロークを行いその波形も確認することで,精度管理値が許容範囲内であっても,測定値には現れないわずかな機器の異常を捉えられる。複数回のストロークとストローク波形の確認は,呼吸機能検査の精度管理上の管理項目として極めて有用である。

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© 2025 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
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