2009 年 12 巻 2 号 p. 42-52
本研究の目的は,医療変革期における医療施設の看護単位の副師長が役割をどのように遂行しているのかを明らかにすることである.調査参加施設は,病院機能評価を受審し,急性期入院加算の認定を受けている関東圏内の一般病院3施設とし,研究参加者は副師長経験年数3年目以上の看護師であった.データ収集方法は,副師長の職務規定書を含むデモグラフィックシートによる組織概要調査と半構成的面接調査を実施した.分析方法は,内容分析により,3施設のデータを統合して共通した副師長の役割遂行における現象を明らかにした.逐語録から抽出したデータ数は2293個であり,三段階でコーディングを行い洗練化した.その結果,【病院経営方針の推進による混乱】と【師長を中心とした役割遂行】の2つの状況が見出された.副師長の役割遂行に関するカテゴリーの関係の中から,医療変革期における病棟の状況と副師長の役割遂行の過程で,病棟を取り巻く殺伐とした雰囲気,影の存在としての役割遂行,副師長の役割葛藤,曖昧な権限委譲の4つの特徴的な現象が見出された.副師長は,師長補佐を中心とした役割遂行を権限委譲が曖昧な状態で行っていることもあり,役割に対する負担感や予測を超えた複雑な様相を呈する状況に対して閉塞感を持っていた.予測を超えた複雑な様相を呈する医療現場で,副師長が経験から得ている知識や能力をさらに活用する環境を整えて,現状に基づく職務内容の見直しや権限委譲について検討する必要があることが示唆された.