日本看護管理学会誌
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臨地実習における看護学生のヒヤリハット発生過程から分析した実態と発生要因
布施 淳子
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2005 年 8 巻 2 号 p. 37-47

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抄録

本研究では,臨地実習における看護学生が体験したヒヤリハットに焦点を当て,看護学生54名に調査し,その中のヒヤリハット体験者11名を対象に面接調査を実施した.そのヒヤリハットの実態をヒヤリハット発生過程に沿って分析し検討した.その結果,以下のことが明らかになった.

看護学生は約4割がヒヤリハットを体験していた.実習科目別では「急性期」,援助項目別では「療養上の世話」でヒヤリハットの発生が多かった.ヒヤリハット発生の過程では,ケア実施の準備に不足があった事例が11件中7件あり,その事例においてケア実施に対する不安があったのは7件中5件であった.ヒヤリハット発生の原因は,「注意不足」,「知識・技術不足」,「病棟スタッフとの関わり」,「危険性の予測が困難」,「患者の理解不足」,「情報伝達不足」,「環境・設備の不備」の7つのカテゴリーがあげられ,その中でも「注意不足」,「知識・技術不足」が多かった.

以上より,ヒヤリハット発生の原因として「注意不足」,「知識・技術不足」が多く,それはケア実施の準備不足とケア実施に対する不安に関係していることが示唆された.

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© 2005 一般社団法人 日本看護管理学会
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