日本看護科学会誌
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研究報告
広汎・準広汎子宮全摘術を受けた患者が体験する排尿障害の症状と対処方法
石山 香織
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2008 年 28 巻 2 号 p. 2_19-2_27

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抄録

目的:広汎子宮全摘術後患者12名と準広汎子宮全摘術後患者10名を対象として,患者が体験する排尿障害の症状とその経過,その症状に対する対処方法を明らかにすることである.
方法:患者に半構成的面接の後,排尿障害の症状とその症状に対する対処方法を各々カテゴリー化した.症状の経過は,症状の内容,頻度,パターンを図示した.
結果・考察:尿意に関する症状として『尿意の欠如』『尿意の鈍麻』『尿意に代わる感覚』,尿排出に関する症状として『排尿困難』『遷延性排尿』『尿線途絶』『苒延性排尿』『残尿』,およびその他の症状に分類された.尿意および尿排出に関する症状は時間経過とともに軽減したが,広汎子宮全摘術後は準広汎子宮全摘術後と比較して自然排尿確立後もこれらの症状が継続している者が多かった.患者は【排尿のタイミングをとる】【排尿時に腹圧をかける】等の対処方法を用いていたが,なかには合併症を招く可能性のあるような注意を要する対処方法もみられた.
結論:排尿障害に対する現在の看護介入は自然排尿の確立が重視されているが,自然排尿が確立したとしても,広汎子宮全摘術後患者に対してはより適切かつ具体的な指導の検討の必要性および長期間における継続的な看護介入の必要性が示唆された.

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© 2008 公益社団法人 日本看護科学学会
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