抄録
目的:パーキンソン病患者への看護の新たな示唆を得るために,パーキンソン病患者がもつ身体像を明らかにすることである.
方法:入院中のパーキンソン病患者6名に看護援助を通してデータ収集を行い質的統合法(KJ法)を用いて対象者ごとの個別分析および全体分析を行った.
結果:全体分析の結果,パーキンソン病患者のもつ身体像は【対処方法が確立した身体】でありつつも,状態によっては【自分ではどうしようもない身体】であった.また,身体の状態が良いと【良くなるかもと期待をもたせる身体】でありつつ,その一方で【その時々で寿命や死を知覚する身体】である.そして,【試行錯誤を重ね探求し創造する身体】と自分だけでは生活できない【他者とつながりをもちながら生活している身体】の2つの身体像がこれら4つの身体像へ影響していた.
結論:パーキンソン病患者は,揺れ動く身体像をもち,その揺れ動きには核となる身体像が影響している.身体像形成の核へのアプローチにつながる看護援助の必要性が示唆された.