日本看護科学会誌
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原著
大腸切除術後に老いを生きる後期高齢者の生活の変化とその対応
真志田 祐理子深堀 浩樹太田 喜久子
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2019 年 39 巻 p. 278-287

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抄録

目的:大腸切除術を受け外来通院する75歳以上の高齢者が術後に経験する生活の変化と変化への対応について明らかにする.

方法:研究参加者9名に半構造化面接を実施し,質的内容分析を行った.

結果:大腸切除術後の高齢者は,生活の変化を経験し様々な変化に対応していた.術後期の生活の変化の認識は《生活機能の低下を経験する》,《気力や体力の低下により活動量が低下する》,《症状がないもしくはあっても生活は変化しない》の3つだった.回復・適応期や維持期においては,老いによる機能低下を自覚するようになる高齢者がおり,生への期待と最期の迎え方を考えるといったある程度肯定的な変化と,生と老いの狭間で葛藤を感じる変化に分類され,一人の高齢者が両方を同時に感じる場合もみられた.

結論:大腸切除術後高齢者の退院後における支援では,疾患や症状の評価だけでなく,退院後に生じる生活の変化の継続的な理解と,その変化や高齢者自身が行っている対応に応じた支援を行っていくことが有益である.

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© 2019 公益社団法人日本看護科学学会
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