目的:病院組織の看護実践環境が看護師の能力開発に及ぼす影響を明らかにする.
方法:東日本に所在する3つの大学病院に勤務する看護職1,419名を対象とし,無記名自記式質問紙調査を実施した.質問紙は保健師の専門性発展力尺度のうち看護師の能力開発に共通する下位尺度,看護実践環境尺度の一部および基本属性で構成し,共分散構造分析を実施した.
結果:1,129名より回答を得た(有効回答率79.6%).共分散構造分析の結果,分析モデルの適合は適切であり,病院組織の看護実践環境から「看護師の能力開発」へのパス係数について,看護実践環境の「病院全体の業務における看護師の関わり」からのパス係数は.25(p < .01),「ケアの質を支える看護の基盤」からのパス係数が.23(p < .01)であった.
結論:看護実践環境のうち「病院全体の業務における看護師の関わり」および「ケアの質を支える看護の基盤」は,看護師の能力開発へ正の影響を及ぼすことが示唆された.