日本看護科学会誌
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原著
被災者兼支援者のうつ/PTSR悪化予防介入プログラムの評価に関する研究
宇佐美 しおり増野 園惠
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2021 年 41 巻 p. 373-381

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抄録

目的:本研究は熊本地震後の看護職のうつ/PTSR悪化予防介入プログラムを評価した.

方法:介入群230名と質問紙調査の対照群270名を対象とした.介入群に2時間のセルフケア強化に関する心理教育と3時間の力動的集団精神療法,合計5時間を実施し,介入前後,介入1・3・6か月後に評価を行った.評価はうつ,PTSD陽性率,災害後反応,SF-8で行った.

結果:熊本地震1年7か月後の介入群のうつ,PTSD陽性率は高かった.しかしうつ/PTSR悪化予防介入プログラムでうつ,PTSD陽性率,震災後反応に変化がみられた.

考察:今回介入群のうつとPTSD陽性率は対照群と比較すると高かったが,プログラムの実施で,介入3か月後にうつは最も下がり,PTSD陽性率も6か月後に下がっていた.しかしうつは依然として強く,介入群はストレスを受けて震災後の生活を送っていた.

結論:被災後,被災者兼支援者のうつ/PTSR悪化予防を行うことでPTSD陽性率は軽減し,震災反応が変化した.

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© 2021 公益社団法人日本看護科学学会
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