日本看護科学会誌
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原著
レスパイトケアを利用する母親の在宅重症心身障害児(者)のきょうだいに対する思いの変化
井上 昌子守本 とも子中馬 成子
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2021 年 41 巻 p. 614-622

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抄録

目的:レスパイトケアを利用する前と利用してからの,母親のきょうだいに対する思いの変化を明らかにする.

方法:近畿3府県において,レスパイトケアを利用している在宅重症心身障害児(者)の母親15名を対象に,きょうだいへの思いに関する半構造化面接を行い,逐語録を作成し質的記述的に分析した.

結果:レスパイトケアを利用する前は【きょうだいに対する自責の念】【子どもに平等に接したい思い】の2カテゴリー,レスパイトケアを利用してからは【きょうだいを喜ばすことができる嬉しさ】【きょうだいのポジティブな気持ちの変化に対する喜び】の2カテゴリーが抽出された.

結論:レスパイトケア利用により,母親はきょうだいを喜ばせられる嬉しさで愛情が満たされ,きょうだいの障害児への愛情を育むという喜びにもつながっていた.レスパイトケアは,母親ときょうだいの関係性の再構築を促進し,情緒的な結びつきを強める上で重要であった.

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