目的:在宅医療提供体制が整った環境下における終末期がん患者の在宅看取りの関連要因を明らかにする.
方法:A法人の終末期がん患者の訪問診療記録を用いた後ろ向き調査を実施した.患者の年齢,性別,疾患名,主介護者の属性,在宅医療開始時の患者及び家族への病名告知と余命告知の有無,患者の在宅療養継続の希望,そして在宅医療開始後死亡までの期間を調査し,在宅看取りを従属変数としてロジスティック回帰分析を行った.
結果:分析対象933名.在宅看取りに関連したのは,在宅医療開始時の在宅療養継続への強い希望(オッズ比3.28 95%信頼区間2.30~4.68,p < .01)と,在宅医療開始後死亡までの期間が30日以内(オッズ比1.51 95%信頼区間1.13~2.03,p < .01)であった.
結論:在宅看取りの要因は,在宅療養継続の強い希望と,在宅医療開始後死亡までの期間が30日以内であった.