日本看護科学会誌
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原著
主任看護師が役割を捉えながら変化していくプロセス
―昇進前後の役割移行に焦点を当てて―
難波 奈保子吉武 久美子
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2021 年 41 巻 p. 857-865

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抄録

目的:本研究の目的は,主任看護師が昇進を通してどのように役割を移行していくのかを明らかにすることである.

方法:8名の主任看護師を対象に半構造的面接を行い,データは修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.

結果:プロセスは,昇進前の経験に影響を受けて2つに分かれ,一つは主体的,もう一つは消極的であった.前者は,【いずれ管理者になることを決心する】【“主任看護師としての私”を自分とスタッフの両方が認識する】【師長とスタッフの考えをつなぐ方法を探る】,俯瞰して考えることで【立場を活かして組織と個人をつなぐ】であった.後者は,【なんとなく道が決まる】【師長の仕事を助ける】であった.プロセスの特徴は,循環する,引き戻ることであった.

考察:主任看護師の役割移行に必要なことは,移行に特化した支援,役割を通して学び続けられる支援である.また,役割経験を通して新たな知見を広げる姿勢をスタッフの時期から育んでいく必要性も示唆された.

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© 2021 公益社団法人日本看護科学学会
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