2024 年 44 巻 p. 228-238
目的:ラサター臨床判断ルーブリック日本語版(LCJR-J)の信頼性と活用可能性を検討する.
方法:学生7名のシミュレーションをLCJR-Jでレーター4名が評価し,レーター間の一致率を算出した.学生は自己評価を行い,学生とレーター間のLCJR-J得点を比較した.活用可能性をグループインタビューし質的帰納的に分析した.
結果:一致率を算出し,評者間信頼性は許容範囲を示した.LCJR-J得点の有意差は学生とレーター間の「評価・自己分析」以外では認めなかった.活用可能性は学生より【活用によるアドバンテージ】【継続的な学びの過程の可視化】【簡明な評価への志向】【レベルに応じた活用】【ポジティブな表現による学習支援】,レーターより【評価指標としての有用性】【臨床判断の思考の焦点化】【看護実践の開発支援】【臨床シミュレーションの評価】【妥当な評価への志向】を抽出した.
結論:LCJR-Jの評価は一定の一致率を認め,臨床判断の観点を共有でき,継続的な対話での活用により発達的なルーブリックとして活用可能性を有する.