2025 年 45 巻 p. 384-391
目的:嚥下障害をもつ長期療養患者と家族を対象とした共食体験が患者と家族,看護師にもたらした影響について明らかにし,今後の取り組みへの示唆を得た.
方法:取り組みに参加した看護師5名に対し半構造化面接法を用いた.分析は佐藤の質的データ分析法を参考に質的帰納的分析を行った.
結果:概念カテゴリーとして,患者には【潜在的な力の発揮】,家族には【かつての患者の想起】,看護師には【看護実践の再認識】が抽出された.また,影響の背景として【特別な環境】が抽出された.
結語:本取り組みは患者にADLの変化などをもたらし,患者の反応をみた家族が過去の患者に関することを想起していた.患者,家族の反応を通して,看護師は自分自身の看護実践を振り返っていた.今後は【特別な環境】に必要な要因の詳細について明らかにすると共に,患者の安全性と看護師の時間的,身体的負担に配慮した工夫の必要性が示唆された.