目的:高齢者の虐待経験がある養護者を対象に,被虐待高齢者の介護を引き受け,役割不全の状況(虐待)から安定した生活を獲得する諸相を明らかにした.
方法:高齢者虐待の経験がある養護者5名を対象に半構造化面接を実施し,Meleisの移行理論を基盤に作成した概念枠組みをDirected Content Analysisを用いて質的に分析した.
結果:【養護者が自力で介護役割を担う】状況下で介護役割を獲得し,【追い詰められた状況と現状の苦しさからの解放】という役割不全の状況から役割支援を受け,安定した生活の獲得に至る諸相が得られた.
結論:養護者の介護役割の獲得後,保健師等支援者やサービスなどの支援による介護と生活との調和により,介護役割の一時的移行がみられた.一方で,適切な支援が得られず,介護負担の軽減に至らない,負担の増大が役割不全(虐待)を招いた.しかし,適切な支援介入により,虐待や再燃を防ぎ,安定した生活を獲得につながることが明らかとなった.