2025 年 45 巻 p. 444-453
目的:重症心身障害児(者)の母親が,わが子の施設入所を考え始めてから入所中の現在に至るまでの心理的プロセスを明らかにする.
方法:施設入所している重症心身障害児(者)の母親26名に半構造化面接を実施し,グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析した.
結果:施設に託しても《わが子を守る母親としての責任はかわらない》というプロセスだった.【わが子を守る母親としての責任】を根底に【わが子を守れない不安】【わが子を施設に託すかどうかを考える】【施設のことは考えてもいなかった】【わが子を施設に託さざるを得なかった】等の11のカテゴリから形成された.またプロセスには,わが子を施設に託すことの葛藤や苦悩が存在していた.
結論:母親が現在プロセスの中のどの様な心理状態であるのか理解しながら母親の思いに耳を傾け,ありのまま受け止めることが重要であることが示唆された.