日本看護科学会誌
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癌化学療法による患者の栄養状態の変化に関する検討
外崎 明子数間 恵子石黒 義彦
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1993 年 13 巻 1 号 p. 12-19

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抄録

本研究はシスプラチンを投与される肺癌患者15名を対象に, 治療中の良好な栄養状態を保持するための看護援助方法を検討する目的で, はじめに患者の栄養状態を評価し, 次いでその影響因子を明らかにした.
(1) 栄養状態の評価には, 体重, 皮下脂肪厚, 上腕筋囲, 握力, 血色素量, 血清総蛋白および血清アルブミンの7指標を用いたが, 皮下脂肪厚が癌化学療法中の栄養状態の変化の指標として最も鋭敏であることが判明した. (2) 皮下脂肪厚の変動には食事の摂取量が影響し, 食事の摂取量には嘔気・嘔吐, 特性不安得点, 感染による発熱の最高値が関連していることが重回帰分析より明らかになった.(3) したがって, 癌化学療法中の患者の栄養状態を良好に保持するためには, 看護援助方法として, 第一に定期的な身体計測により栄養状態を評価すること, 第二に嘔気・嘔吐を軽減するように努め, 不安の強い患者に対しては精神的安定が得られるように援助し, 感染予防に対する患者の自己管理能力が高まるように働きかけ, これらにより十分な食事摂取ができるようにすること, が必要であるとの結論が得られた.

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