抄録
本研究では, 在宅ケアにおけるテレビ電話の利用意志を利用者と訪問看護師の受容度とケアに対する有用度から明らかにし, さらに利用意志に影響する要因を明らかにすることである. 対象者は都内2機関の訪問看護ステーションに従事している訪問看護師17名とその機関よりケアを受けている65歳以上の利用者72名を対象とした. その結果, 1) テレビ電話受容度と有用度に関する利用者と看護師の意見は全38項目中34項目に於いて一致した. 両者の一致度も高く受容度の高い項目は,「テレビ電話による看護ケア」「看護師に簡単に直接連絡とれる」「健康状態・医療的問題の観察・判断」「プライバシー保護」であった. 有用度においては,「介護方法の指導・教育」「薬の変更や新しい処置方法の指導」「症状や病状悪化の早期発見」「病状不安定時の相談」であった. 2) 現段階の在宅サービスにおいては, テレビ電話における利用者の利用意志に影響している変数は,「健康問題の改善」「利用者にとっての時間節約」「痛みの観察・判断」「火災予防の確認」の4項目であった. 3) 看護師に於けるテレビ電話の利用意志に影響している変数は9項目(「医療・ケアの指導・教育」「食事指導」「介護者の不安や負担感」「リハビリの継続」「生活意欲の向上」「対人関係の拡大」「コミュニケーションが容易」「テレビ電話の利便性」「費用節約」)であった. 4) さらに在宅ケアにおいてテレビ電話が有用なものとなるためには, 操作が容易なものとなり, 機器が介護保険制度の福祉用具としてサービス料金化する条件を整えることであることが示唆された.