抄録
本研究の目的は, 日帰り手術に向けて取り組む過程における幼児の自律性とその構造を, 幼児と母親の相互作用を通して探求することである. 下腹部の疾患のため日帰り手術を受ける3~6歳の40名の幼児の母親を対象に, 手術当日に半構造的質問紙を用いた面接調査を行い, 内容分析によって要素とその関係性を探索した. 日帰り手術に向けて取り組む過程における幼児の自律性は, 9つの要素:〈関心〉〈疑問〉〈受容〉〈拒否〉〈再現〉〈交渉〉〈探索〉〈警戒〉〈主導〉を包含する,3つのカテゴリー:{健康問題や治療への関与}{治療に対する自由な意思表示}{自分で規定し方向づける過程}によって構成されていた. また, 幼児は4つの自己のあり方:【状況期待に乗せられる】【状況期待に乗れない】【状況期待に乗る】【状況期待に乗せる】を表わし, 親の2つのケア:[やる気や好奇心の拡大][安心や自信の拡大]を得ることで自己のあり方を変化させながら, 日帰り手術に向けて自律性を向上させていた.