抄録
感染症リスク認知の新しい試みとして, 26のリスク事象(感染症13, その他13)に対するイメージ, および, 知識度と清潔意識を調査し, 恐ろしさ因子軸と未知性因子軸からなるリスク認知地図の作成を試みた. 感染症の知識や体験のリスク認知への影響を明らかにするため, 調査対象を次の5つの対象者グループとした. (1) 集団感染症の体験と知識があるN 病院看護師群51名, (2) 集団感染症の体験があり知識のないS 大学生群53名, (3) 感染症の体験はなく知識があるK病院看護師群50名, (4) 体験はないが若干の感染症の知識を有するK 看護大学生群50名, (5) 感染症の知識も体験もないF 大学生・社会人群111名である.
その結果, 13の感染症リスク項目は, 感染症以外の13のリスク項目と分離することなく混在して付置していた. 全般的に感染症の因子(リスク認知)得点の平均値が高かった対象者グループは, 集団感染症の体験がある第(2) グループで, 逆に全般的に平均値が低かったのは, 集団感染症の体験と知識がある第(1) グループであった.