現代の医療では非侵襲的に多くの情報を得ることが求められている.採血さえも不要な呼気試験は,検査方法を工夫すると,多くの消化管情報を得ることができるが,その中心は水素・メタンガスの測定である.空腹時の呼気中水素は消化管発酵反応の指標と考えられているが,その再現性は低く,解釈は難しい.そこで,試験食を負荷して呼気中水素・メタンガスの経時的な変化から病態を評価する方法が一般的である.非吸収型の炭水化物,食物繊維などは小腸で吸収されず,大部分が大腸へ到達し,腸内細菌の発酵反応で分解される.この際発生する水素・メタンガスの時間,量からガス発生部位を推定し,消化管通過時間,細菌の異常増殖を診断することができる.発酵生成物が腹部症状を惹起する場合もあり,消化管での発酵の程度を把握することは重要である.今回,臨床現場における水素・メタンガス測定の実際を述べる.