におい・かおり環境学会誌
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特集(害虫制御に関わる香り物質)
シロアリの卵認識フェロモンおよび女王フェロモンの特定と応用への展開
松浦 健二
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2012 年 43 巻 1 号 p. 12-24

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抄録
シロアリやアリ,ハチなどの高度な社会生活は,様々なフェロモンによる化学コミュニケーションによって成り立っている.我々は,シロアリの卵認識フェロモンの成分が抗菌タンパク質の一つリゾチームとセルロース分解に関わる酵素の一種であるβ-グルコシダーゼであることを特定した.また多量の女王採集と化学分析,独自に開発した生物検定法により,女王フェロモンの成分が,2つの揮発性物質2-メチル1-ブタノールとn-ブチルn-ブチレートであることを特定し,人口フェロモンによる女王分化抑制に成功した.これらのフェロモンによって,殺虫活性物質を含有させた擬似卵を巣の生殖中枢に運搬させることができ,新たな駆除技術への応用も可能である.
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© 2012 (社)におい・かおり環境協会
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