におい・かおり環境学会誌
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研究論文
生活環境における不快臭の主成分の解明および官能評価による手法の提案
大黒 さゆり光田 恵棚村 壽三内山 一寿
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2022 年 53 巻 5 号 p. 285-294

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抄録

生活環境中のカビ臭や腐敗臭を例とし,実環境の臭気に寄与している主要成分を,官能評価を用いて明らかにすることを目的とした.生活環境から採取したサンプルA~Cから臭気を採取し,21種の臭気物質の試料と嗅ぎ比べ,臭気強度や臭気質などをパネル22人に評価させた.SD法の評価結果を用いて平均値プロフィールを算出した結果,AとBは「ホコリっぽい」「不快」などの評価値が高く,オクタン酸,ノナン酸と近く,Cは「はっきりした」などの評価値が高く,ステアリン酸,フェニル酢酸と類似していた.SD法の評価結果を用いてA~Cと臭気物質のパターン類似率を算出すると,0.946~0.999の範囲となり,いずれの組み合わせでもよく類似していることが分かった.A~Cに共通して類似率が高いのは,オクタン酸,ノナン酸,ウンデカン酸,フェニル酢酸であり,これらの臭気物質が本研究で対象とした不快臭に寄与していることが分かった.

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© 2022 (社)におい・かおり環境協会
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