日本精神保健看護学会誌
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原著
精神科看護師の批判的思考態度を促進するためのリフレクションを用いた教育プログラムの効果
―統合失調症患者の身体症状の判断に焦点をあてて―
池内 彰子上野 恭子
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2020 年 29 巻 2 号 p. 9-18

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抄録

本研究は,精神科看護師の批判的思考態度の促進に向けた教育的な介入を試み,効果を検証することを目的とした.教育プログラムは統合失調症患者の身体症状を判断した場面を,看護師の倫理的感受性に焦点を当てリフレクションする内容とした.

介入は準実験研究(1群事前事後テスト)デザインで,一般科臨床経験のない精神科臨床経験が5年未満の看護師23名を分析対象とした.介入による効果を,介入前と介入直後,介入1ヶ月後の批判的思考態度尺度中央値を比較し検討した.さらに,介入1か月後に患者の身体症状判断の実践状況,および看護師自身の変化や成長を把握するために,研究参加者10名を対象に半構造化インタビューを実施した.

結果として介入前に比べ介入直後,介入1ヶ月後ともに批判的思考態度尺度の中央値は上昇を示した.また,インタビュー結果より看護師の身体症状の判断に関する変化や成長を示すカテゴリーが形成され,批判的思考態度の促進に一定の効果が認められた.

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© 2020 日本精神保健看護学会
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