日本精神保健看護学会誌
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精神科急性期病棟看護師の自殺未遂患者に対する再企図予防を意図したケア
岩澤 敦史
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2023 年 32 巻 1 号 p. 83-91

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抄録

本研究の目的は,精神科急性期病棟に勤務する看護師が自殺未遂患者に対して行っている再企図予防を意図したケアを明らかにすることである.

精神科急性期病棟に勤務する看護師6名を対象に半構成的面接調査を実施し,質的帰納的に分析した結果,再企図予防を意図したケアは,【自殺リスクに対して冷静な臨床的評価で関わる】【患者の言動や過去のエピソードから自殺リスクを統合的に判断する】【患者の状態変化に気づく環境を整える】【能動的な振る舞いや態度で死にたい気持ちに対して真正面に向き合いやり取りする】などの8つのカテゴリが形成された.

精神科看護師は,これまでの看護経験や専門的知識に基づき自殺未遂患者に対して主体的に接しており,再企図予防を意図したケアを遂行できる基盤には様々な患者事例に遭遇する看護経験が影響していると推察された.自殺未遂患者に対して行う直接的なケアに加えて,周囲や生活環境といった患者を取り巻く様々な要素にも意識を向けて,包括的なケアに努めていることが示唆された.

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© 2023 日本精神保健看護学会
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